人工知能と共存するために【人工知能の核心 書評】

2019年11月4日

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2018年読み残しのうちの1冊です。
やっと読み終えました。いやぁ、専門分野じゃないと時間かかりますね。

普段読んでいる自己啓発がいかに読みやすかったかが分かるいい機会でした。反省。
どうも、掃除や仕事は簡単なものばかり先に手を付けるするめ(@hengenjizai)でございます。

今回は人工知能の発達につれて脅かされていると言われる一つのジャンル、
テーブルゲームのうち将棋界の王者羽生善治氏が執筆された書籍、「人工知能の核心」を紹介します。

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人工知能は「敵」ではない。

この本を執筆する前の打ち合わせを行う際、NHKの担当の方が

「羽生さんは人工知能に勝てるでしょうか?」

と聞いたのに対し、羽生さんは以下のように答えていたそうです。

「今、将棋の人工知能は、陸上競技で言えば、ウサイン・ボルトくらいです。
運が良ければ勝てるかもしれない。
しかしあと数年もすれば、F1カーのレベルに達するでしょう。
そのとき、人間はもう人工知能と互角に勝負しようとは考えなくなるはずです」

「人工知能の核心」位置:16より



認めるのが早い。

ただ、これは決して悲観からくるものではなく、
人工知能の力をしっかりと認めたうえでの発言です。
羽生さんは本書の中では「敵」として描写しているところはありません。


というかソフトバンクのPepperとすごく仲良くしてましたし。

羽生さんも仰っていますが、要はどう向き合うか、どう付き合うかが問題なんですよね。
そんななか、よく「人工知能で仕事がなくなる」と言っている方を見かけます。
その考え方は間違ってはいないのですが、少し悲しいんですよね。


代わりにやってくれるのにどうしてそんなに悲観することがあるんだ、っていう印象です。

失礼、脱線しました。

なお、本書は人工知能の入門書としては少し難しめでした。
もしはじめの一冊として購入を検討している方は以下の一冊を先に読まれることをおすすめします。

あと個人的には将棋の知識がもう少しあったら、楽しめたんだろうなぁと思いました。
当然っちゃあ当然ですが、将棋での例えが多いです。

ポイントチェック

将棋を学ぶときに大事なのは、実は覚えることを増やすだけでなく、
余計な考えを捨てていくことだったりします。

「人工知能の核心」位置:209より

未来学者のレイ・カーツワイルが、その著書
『ポスト・ヒューマン誕生:コンピュータが人類の知性を超えるとき』(二〇〇七年)のなかで、
「シンギュラリティ(技術的特異点)」という概念を提唱しました。
これは近い将来、
人工知能が全世界の人間の知性の総和を超えていく地点(シンギュラリティ)が訪れて、
そこからは加速度的に機械の知性が進歩してしまい、人間は追いつけなくなるという予言です。

「人工知能の核心」位置:288より

一つの分野の学習に突出しているよりも、「広く浅く」ではないですが、
どんな分野でも学習できる方が生物として、より生存に適しているのではないでしょうか。
人間は、一つの分野で自分が学んだことを、別の分野に応用する能力を持っています。
汎用性は、人類がその長い歴史のなかで獲得してきた、圧倒的な強みなのです。

「人工知能の核心」位置:325より

現在流行しているディープラーニングは、先ほども説明したように、とにかく大量のデータを読み込ませて学習すれば、人工知能が判断を下せるようになるという発想のアルゴリズムです。

「人工知能の核心」位置:361より

棋士がしばしば口にする感想に、
「将棋ソフトの指す手には、人間から見ると、違和感を覚える手が多い」というものがあります。
通常なら怖くて指せないような、常識外の手を人工知能は指してくるのです。

「人工知能の核心」位置:392より

人工知能が社会に浸透していくことが確実視される今、
セカンドオピニオンとしての人工知能を使いこなすことが、
今後ある種のスキルとして問われていくのはほぼ間違いない
でしょう。

「人工知能の核心」位置:451より

コンピュータでも予測できない複雑なものを「カオス」と呼びます。天気はその一つです。
もしくは、政治的な判断もそうですが、
このような様々な要素が絡み合っているなかで何かを決定する行為は、
まだまだ人間に一日の長がある
ように感じます。

「人工知能の核心」位置:456より

ちなみに、私は人工知能について講演や対談を行うとき、
「人工知能がどれだけ進化を遂げても、ふなっしーを生み出すことはできないのではないか」
と話すことがあります。
少し褒めすぎかもしれませんが、ふなっしーは、
まさにそんな破壊的イノベーションの一つではないでしょうか。
そして、こうした創造行為こそ、人間にとって強みのある領域であるように思えるのです。

「人工知能の核心」位置:469より

他にも、画像による人物特定への使用にも期待が寄せられている。
例えば、公共スペースで、複数の防犯カメラで捉えた特定の不審人物の情報を集め、
そこから構築された人物像をもとに、まったく別の場所で撮影されたその人物を追跡できるという。
しかも、それは後ろ姿だとしても認識できるというから驚きだ。
この高い認識力こそが、将来的には医師などの高度な専門職が、
人工知能に置き換わるのではないかと言われる根拠
なのだ。
 

「人工知能の核心」位置:546より

人間であれば「大局観」を用いて絞り込んでいきますが、
コンピュータの場合は「評価関数」と言われる、その局面の形勢を評価するアルゴリズムを使います。

「人工知能の核心」位置:767より

社会構造を変えるほどのインパクトを持つ技術が現れたとき、当然私たちはその影響を大きく受ける。
人工知能がその一つになることは、ほぼ間違いないだろう。
そのときに大切なのは、「何が失われるか」と過剰に不安視するのでなく、
「変わったことに適応できるか」ということなのだと思う。

「人工知能の核心」位置:2120より

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編集後記

ちなみにわたしが関わっていた会計業界でも人工知能はよく使われています。

弥生会計ではスマート取込の際、仕訳を学習し最適なものを選んでくれる機能があります。
とはいえ、AIというより単純にデータの蓄積ですけどね。
もちろんクラウド会計でおなじみMF会計freeeでも同じような機能はあります。

会計業界ではこのAIとうまく共存できているかどうかで、
今後生き残ることができるかどうかが大きく左右されるだろうとよく言われています。
現に、クラウド会計特化型の会計事務所はすごく伸びている印象ですしね。

少し脱線しますが、この先個人だけでなく法人の申告もAIで事足りるようになるのではないか
という話もちらほら聞きます。
しっかりとした基準に則っているだけに自動化しやすいんですよね。

なお、わたしは会計の分野のうち記帳と申告部分はさっさとAIに任せたほうがいいと思っている派です。
突き詰めるとただの事務作業ですからね、この部分。

色々話してきましたが、人工知能の発展はどの業界でも遅かれ早かれ影響が出てきます。
いざ影響が出てきてから考えても遅いので、共存方法や活かし方を考えておくために
早めに知識をつけていくことが必要ですよね。

それでは。

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