とりあえずここだけ見る!試算表のチェック方法!
この前、パートの方から月次、つまり試算表を作成したあとに
どのようなフローで確認していけばいいか、という質問に答えたのが割と好評だったので
せっかくですしみなさまにも共有できたらと思います。
いやあ、しみじみと自分の成長を感じますね。。。
はい、進めます。
わたしが、すべての作業を終わらせた後にするチェックを時系列でご紹介します。
教える人によってフローが違うかもしれませんので、
あくまで一つの意見として御覧くださいね。
B/S(貸借対照表)で各勘定科目の残高をチェック
これは最初に行います。というか基本です。
それぞれの勘定科目で残高が分かる資料が原則的にあるはずなので、
チェックしやすいハズです。
以下、いくつか科目についてピックアップして説明します。
現金
現金出納帳をクライアントが作っていれば、そちらと照合するだけで大丈夫です。
ただ、個人事業主は特にですが作っていない場合が多いです。
その際は残高が異常値でないかを確認してください。
ちなみに「異常値」というと、どれくらいが。。。って思いますよね。
極端にいうと現金がマイナスになっていたり、現金が数千万になっていないかを確認します。
マイナスになっているということは、お金の出どころが間違えているケースが多いですね。
事業主からのポケットマネー、つまり事業主借や役員借入金にもかかわらず現金で
処理してしまった、またはカードで切っているものを現金で処理してしまっていたなどです。
また、現金が異様に多い場合は桁を間違えて計算してしまっているか、
預金からの出金履歴が実は経費だったにもかかわらず、
現金として仕訳を切ってしまっていたか、などが考えられます。
預金(当座預金・普通預金・定期預金・定期積金など)
こちらは預金の通帳、もしくは残高証明書などで確認します。
慣れてくるとまあ大丈夫だろ、って流しちゃうんですが意外とここのチェックは大事です。
例えば末日に残高を合わせないといけないのに、次の月の分まで同じに日に入れてしまった
というケースが割とあります。
はい、わたしです。
預金がズレると損益ガッツリ変わってしまうケースが多いので注意しましょう。
預金間違えているのはだいぶダサいです。
売上債権(売掛金・未収入金)
ここちらは売上資料を元に残高を照合してください。
現金主義(入金ベースで売上を計上する手法)の場合はそもそも債権は存在しないので
あまり関係ない、と思われる方もいらっしゃいますが、
会計は原則として発生主義(役務を提供をしたタイミングで売上を計上する手法)で
しなくてはならないので注意してください。
ちなみに取引先が振込手数料を差っ引いて振り込んでこられた場合の処理を
失念してしまうのが、よくある間違いかなと思っています。
全部1,000円だろうかと思うので、そんなに重要性は高くないです。。。。が
チリも積もればといいますし、期末でズレに気付いて遡って修正ということになると
割と面倒くさいです。
仕入債権(買掛金・未払金)
こちらは仕入資料、つまり請求書などをもとに確認していってください。
売掛金しかり買掛金しかり、取引量や取引先が多いと販売管理システムを導入している
パターンも多いです。
その場合は計上額に加え、回収・支払額や残高がわかる資料が帳票として出るはずなので、
そちらを頂いて照合させてもらうことをオススメします。
給与関係負債(預り金・未払費用)
こちらが給与計算をしている場合はそれをもとに、
先方が計算している場合は賃金台帳もしくは給与明細一覧表を月ごとに打ち出して
確認してください。
預り金は所得税や従業員負担の社会保険料、
未払費用は従業員に渡す給与額(手取り)や、会社負担の社会保険料
の確認を行なってください。
この残高の照合により給与の支給ミスや源泉所得税の支払い漏れ、
そして社会保険料のズレなど他の問題の発覚につながるケースが多いです。
また、社会保険料の料率が変わったタイミングにおける
社会保険料の未払計上にもご注意ください。
4月と9月の法定福利費が変わるタイミングです。
その他
どの会社にも共通しているのはこのくらいでしょうか。
あとわたしがチェックしているのは保険積立金でしょうか。
半分損金、半分資産計上のパターンの保険もあったりするので、
すべて保険料として経費処理されていないか、もしくは
資産として計上されていないかを確認しています。
P/L(損益計算書)で前期と比べる
B/Sの確認が終わったら次はP/L、つまり損益計算書です。
会計ソフトには基本的に前年度と比較できる機能が備わっています。
そちらを有効に使っていきましょう。
クライアントに試算表を説明する際もこちらを使うと理解してもらいやすいです。
P/Lでチェックする際は以下の2点だけを意識していただければ大丈夫です。
ないものがあったりしないか?
あるものがなかったりしないか?
たったこれだけです。簡単でしょ?
というのもB/Sがある程度チェックできていたらほとんど漏れは無いはずです。
ただ、科目によっては気づきにくいところもあります。
そちらをフォローするかたちで前期比較のP/Lをチェックします。
ないものがあったりしないか?
これは異常値がないかを検証します。
簡単に言えば、前期には計上額が0だったものが今期に計上されていないか、
または前記に比べて明らかに金額が多いものがないかを確認します。
スポットの出費が確かにあった場合はスルーしていただいて結構なのですが、
よくあるのが勘定科目のミスです。
昨年は消耗品費で計上してたオフィス用品を事務用品費として計上しているであったり、
製造原価に計上しなければならないものを販管費の方に入れてしまっていたなどですね。
以上はいずれも最終的な損益には影響はないのですが、比較がしにくくわかりにくいので
クライアントに渡す資料としては少し不親切です。
会計事務所の人間はいかにクライアントにわかりやすく現状を伝えるか、を
念頭に置く必要がありますので特に注意してくださいね。
あるものがなかったりしないか?
こちらはB/Sのチェックで漏れがちの項目の確認をします。
勘定科目でいうと減価償却費や長期前払費用償却、あとは法定福利費の計上ですね。
どうしてもB/Sのチェックをする際は現預金の確認に意識を置いてしまうケースが多く、
有形固定資産や投資その他の資産については見落としがちです。少なくともわたしは。
ですので、P/Lで抜けている経費計上、特に現預金の異動を伴わない経費を重点的に
チェックするようにしましょう。
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P/L(損益計算書)の年間推移で前後と比べる
最後にチェックするのが同じく会計ソフトにある帳票「年間推移表(月次推移表)」
を使います。
チェックする際に意識するのは前述しております前期比較のP/Lと一緒です。
あるべきのものがなかったりしないか?
ないものがあったりしないか?
こちらです。
基本的に試算表のミスは「あるものがない」「ないものがある」の2つからしか起きません。
年間推移でチェックする勘定科目も基本的には前述の前期比較P/Lと一緒で
現預金の異動を伴わない各種資産の償却ですね。
ちなみに年間推移を確認するのはクライアントに説明する前に、
自分でしっかりと試算表を読み解いていくためのフローとしての役割が大きいです。
前月に比べて売上が落ちている、であったり前月よりも仕入が増えた、
他にも前期比較だけでは気づけない部分もたくさんあります。
試算表の中身を網羅するためにもチェックを兼ねて各月ごとのB/S、P/Lだけでなく
累計のP/L、そしてP/Lの年間推移を確認するとよりクライアントに対して
的確な説明ができるようになります。
少し話はそれましたが、年間推移表でのチェックは基本的に保険です。
基本はB/S、そして前期比較の損益計算書で確認するようにしましょう。
最後に一言
修正にかかる時間はチェックに書ける時間の倍ぐらいだと思ってください。
以上です。
一時の横着は自分を苦しめるだけなので、手間と思ってもしっかりとチェックしましょう。
それでは。
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